次世代産業用ロボットのインパクト
なぜ、TurtleBot3 Limeのエコシステムは重要か?
深層学習による、いわゆるAI技術の発展は、産業用ロボットに対しても大きなインパクトとなっています.これは、ロボット単体の実装方法の変化に限定されず、その社会実装、ビジネス適用も含めた総括的な変化になりつつあります.産業において、ロボット本体、および、それが活用されている形態全体を、ここではエコシステムとよんでいます.次世代ロボットのエコシステムは、以下の点で従来と大きく異なり、より大きな効果が期待できるものです.
- ロボット本体の実装方法の変化
深層学習による画像認識や行動のプランニング機能の高度化により、自ら環境を認識して自律的に行動するロボットが実現できるようになっています.これは、AIロボットとよばれることがあります.少量多品種生産現場など、ロボットが適用できる範囲を大きく広げる可能性があります.ROSは、このようなロボットの実現に関する共通基盤を提供することにより、AIロボットに不可欠な存在になりつつあります. - ロボット利用形態の変化
従来、産業用ロボットの運用イメージは、ティーチングによる事前準備を十分行って、大量生産現場で繰り返し動作を行わせるものでした.しかし、AIロボットと、特にLLMやデジタルツイン技術の発展により、これが大きく様変わりしつつあります.たとえば、非専門家でも自然言語や画像情報に基づくUIによって随時指示を与えることが可能になっています.これを、自律行動機能を持ったAIロボットが実行するようになれば、全体としてロボットの導入、運用コストが大きく削減される可能性があります. - 産業全体へのインパクト
AIロボットとLLMやデジタルツイン技術の組み合わせは、産業のあり方自体を大きく変革する可能性があります.それを引き起こす根本原因は、人材不足と競争の激化です.たとえば、日本の製造業は、作業者個々人の’熟練の技’が支えていますが、人材不足によってその継承が覚束なくなっています.熟練の技自体の継承は容易ではありませんが、人間がやらなくてもいい作業の自動化を通じて人材活用の効率化を図ることは、すぐにでも着手すべき人材不足に対する現実的な解であると考えられます.付加価値を生む中核的な作業と、それ以外の作業の切り離しと適切な自動化が、今後の産業発展を支える重要な柱となることが予想されます.AIロボットは、まさにこのためにあります.
ビジネスへのインパクトの大きさは、やってみなければわからない!
このように、深層学習は、ロボット単体ではなく、それを活用する環境全体に強い影響を与えます.TurtleBot3 Limeは、この新しいエコシステムを実体験するために開発された、ROS2に基づく次世代の標準ロボットです.実機や、デジタルツインによる仮想環境で、次世代ロボットの技術とそのインパクトを体験されることをお勧めします.

TurtleBot3 Lime
TurtleBot3 Limeは、TurtleBot3 Waffleをベースとし、Raspberry PiをJetson Orin Nanoに換装し、6自由度アームを付加したロボットです。Open Roboticsによって正式にTurtleBot Friendsとして認証されています。ROBOTIS Japanより日本国内限定で販売されています(ROBOTISページ)。
TurtleBot3 Limeは、エッジGPUであるJetsonを搭載することにより、単体で深層学習を実行することが可能です.さらに、NVIDIAのデジタルツイン基盤であるOmniverse中でシミュレーションすることができるようになっており、次世代ロボットの産業適用の状況をデジタルツインを用いて再現できます.これによって、総体的なエコシステム例として、その効果を体験するだけでなく、次世代ロボットの産業適用の効果分析や実際のソフトウェア開発を効率的に実施する方法を習得できます.